耕さない田んぼ

 千葉県南房総市の「耕さない田んぼ」でお米づくりをしています。

五十嵐武志が10年以上、耕さない田んぼでお米づくりと向き合って培ってきた、「生き物・雑草・イネ・田んぼの観方」と、岩澤信夫先生の「冬期湛水不耕起移植栽培」をベースにしたお米づくりをお伝えしています。

「耕さない」と聞くと、驚かれる方も多いことでしょう。もちろん、耕すことを否定しているわけではありません。ではなぜ、私たちが「耕さない」を選んでいるのかというと、耕さない田んぼには、生きものの住処があるからです。
田んぼの生態系が豊かだと、外から肥料を与える必要がありません。土中の有機質、イトミミズの排泄物などがその役割を担っています。

耕さない田んぼに植える苗は、低温で、じっくり2ヶ月程かけて5.5枚の葉っぱまで生長した成苗です。(※育苗中に限り、床土に化成肥料を含むものを使います)この苗が、固い土壌にしっかりと根を張り、たくましい稲に育ちます。そのため、病害虫の予防をする必要が無いので、農薬が要りません。

草刈りは、稲と雑草と、双方の生態をよく理解したうえで行います。稲刈り後から冬の間、雑草が発芽しないように翌年の準備をします。
1月に田んぼの水を張り、田んぼに住む生きもののフィールドを用意します。(※南房総では12月下旬〜2月までに張り終えるのが理想)
田植え後、田んぼには一切入りません。ひたすら観察をして、必要なことがあれば手を加えます。草が生えない田んぼ作りをしますので草取りはしません。除草剤も使いません。

「耕さない田んぼ」は、足し算・引き算。基本をきちんと学んだうえで、自らの選択と実践を積み重ねていく。とても、シンプルです。
自然と化学(ばけがく)、両方の視点から考え、観察し、配慮をする。求めすぎず、周辺の地域の方々に迷惑をかけない、無理をしない。自分で田んぼをしていると、何が安全で、何が安心かわかってきます。



【耕さない田んぼのポイント】


「耕さない田んぼ」では、土を耕したり、稲の生長に必要な肥料を担っているのは田んぼに棲む生き物です。生き物を観察し、フィールドを用意することが私たちの役割です。
作物や田んぼの成り立ち、生きものの個性、適切な栽培法を知ることで田畑や自然との付き合い方が変わってきます。


 ◆冬期湛水不耕起移植栽培(とうきたんすいふこうきいしょくさいばい)とは

農業技術者の「岩澤信夫」が確立した稲作農法

岩澤信夫(1932- 2012)は、家業の農業に従事しスイカの早期栽培に成功した後、農家のコメづくりのための農業技術を研究。長年の試行錯誤の結果、耕さない田んぼで農薬も肥料も使わずに多収穫のイネを作ることに成功した。



3つのキーワード



  
1)冬期湛水=冬の田んぼに水を張る(※南房総では12月下旬〜2月までに張り終える)

・微生物や藻が発生する→生き物のえさや住処ができる

・雑草の発芽条件である「光・水・酸素・温度」が揃わなくなる


2)不耕起=田んぼを耕さない

・生き物の住処を壊さない

・固い土をつくる


3)移植栽培=成苗を田んぼに移植する

・病気・害虫に強い身体を持つ稲に育つ

・多収穫につながる


耕していない固い土に丈夫な苗を植える○


・根にストレスがかかり太くなる

・自分の力で肥料分を求めて根を張っていき、たくましい稲に育っていく



丈夫な苗とはどんな苗か

◎イネの生理にあった5.5葉の苗(成苗)※手植えの時代に作られていた苗




○岩澤式・低温育苗の成苗
約50日という長い時間をかけて低温で管理し低くて太いしっかりとした苗に育てる。草丈が20cm以内で5.5葉を目標に育て、田んぼに移植。

○稚苗(ちびょう)
機械移植のための苗。葉の数が2.5枚の頃に田んぼに移植。




冬期湛水と不耕起で生き物のフィールドを用意し、耕していない固い土に丈夫な苗を植えることで肥料・農薬・除草剤を使わず稲が育ちます


【年間のスケジュール】


・1月   水張りの準備(くろぬりなど)、切り藁をまく
・2月   下旬までに田んぼの水を張り終える
・5月   連休あけぐらいから田植え
・6-7月  水の管理、生き物の観察
・8月   1日から水を抜く、溝掘り
・9月   10日前後から稲刈り-脱穀-籾摺り

・10月   稲刈り後、草刈機で田んぼを全部刈る
・12月   2番穂を刈って生長を見ながらもう一回刈る